2-6 無害化処理
●溶融処理
アスベスト含有シール材の無害化処理(溶融)は、認定をうけた溶融施設によって処理を行う。溶融処理にあたっては、炉内をアスベストの溶融に十分な高温に保つこと、処理に伴うアスベストの大気への飛散を防止すること、等に十分留意しなければならない。
●高度処理による無害化
平成18年8月9日施行の廃棄物処理法の一部改正により、アスベスト含有廃棄物は、無害化処理への促進・誘導が決定され、1500度以上で溶融処理をすることでしか認められていなかったアスベスト無害化処理を、溶融以外の高度な技術を用いて処理を行うことを国が個別に認定する「無害化大臣認定制度」創設された。同法によるアスベストの無害化とは、人の健康又は生活環境に係わる被害を生ずるおそれのない性状にする処理のことでことで、アスベストが検出されないこととしている。さらに告示において「検出されないこと」とは、位相差顕微鏡を用いた分散染色法及びエックス線回折装置を用いたエックス線回折分析法による分析方法により検定した場合において検出されないことをいい、その分析方法により検定した結果から石綿の有無を判断することが困難な場合は、電子顕微鏡を用いた分析方法により検定することとしている。このことから、無害化処理とは、アスベストを別な物質に変える:非アスベスト化、繊維状物質を無くす:非繊維化することといえる。
無害化大臣認定制度は、今後大量に発生するアスベスト廃棄物について、迅速に対応するため廃棄物処理業及び施設設置の許可を不要とする制度であり、現在多くの機関により研究開発が進められている。同法改正により、アスベスト廃棄物の含有基準が、その重量の0.1%を超えて含有する廃棄物とされたことにより、その廃棄物発生量は膨大なものとなることが予想される。しかし、アスベスト利用の率からも、その多くはセメント系無機物と混練したスレート等の建材である。そのため、環境省はじめ各研究機関や企業において行っている無害化処理の研究開発、実証でも主に建材を対象にしている。
アスベスト無害化処理
2-6 最終処分
アスベスト含有シール材は、アスベスト含有率が極めて高いが、樹脂、ゴムなどで固定されているため、通常の状態では飛散しない考えられてきた。しかし、使用済みのガスケット類は、その劣化レベルにより表面が摩耗、除去の際に破断或いは、研削・研磨されることにより、曝露、飛散の恐れが高い。
従来、非飛散性アスベスト廃棄物は、安定型処分場への埋立処分が認められているが、劣化したアスベスト含有シール材廃棄物を非飛散性アスベスト廃棄物としてそのままの状態で安定型最終処分場へ埋立てすることは、将来にわたり危険性が高いと考えられる。従って、その高いアスベスト含有率と飛散の危険性から、特別管理廃棄物である廃石綿と同等に、二重梱包等による飛散防止対策を施し管理型最終処分場への埋立が適当である。
●埋立処分
最終処分は、埋立処分によることとし、都道府県知事に許可を受けた最終処分場で行う。埋立処分を行う場合には、次による。
- 大気中に飛散しないように、あらかじめ耐水性の材料で二重に梱包する。
- 埋立処分は、最終処分場のうちの一定の場所において、かつ、当該アスベスト含有廃 棄物が分散しないように行う。
●最終処分場
アスベスト含有廃棄物を処分する最終処分場は、廃棄物処理法に定める廃棄物の最終処分の構造・維持管理の技術上の基準に適合したものでなければならない。
●最終処分場の管理
アスベスト含有廃棄物を受け入れる最終処分場は、処分場の適正な管理を行うため次のような措置を講じる。
@受入要領をあらかじめ定めアスベスト含有廃棄物の受入契約時に排出事業者に提示する。
A受入に際し廃棄物の量、積載状況等について確認する。
B廃棄物の埋立量、埋立場所等について記録し、永年保存する。
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