
2-1 概論
アスベスト含有シール材は、分類上非飛散性アスベストに含まれ、通常の使用状態においては飛散しないとされている。従って除去・回収・廃棄時においても非飛散性アスベストとして扱われ、その規定に従っている。
また、ガスケットは、製造方法により組成が異なるため、その分類により除去・回収・廃棄方法も異なる。金属系ガスケットは、金属に覆われているため、その除去も容易であり、金属部の劣化が無ければアスベストの飛散も起こらないと考えられる。最も使用の多い軟質ガスケット:ジョイントシートは、合成ゴム等と混練し製造されているため、通常の使用状態においては飛散しないが、混練材料は劣化を起こし、極めて高いアスベスト含有率であることから、劣化状況により飛散の可能性が考えられ、作業員の曝露の危険性もある。
現在、アスベスト含有シール材の取り替え作業時の曝露・飛散防止対策及び、取り外された廃シール材の処理方法は明確でなく、その危険度にそぐわない可能性がある。安全な除去・回収を行うためには、劣化の進行している廃シール材について、それぞれの劣化レベルに対応した曝露・飛散防止対策を施す除去・回収技術による施工をしなければならない。
アスベスト含有シール材の除去・回収による健康被害を防ぐためには、曝露・飛散を防ぐ除去・回収技術が必要であるが、同時に多くの手間と費用を要する。健康被害を未然に防ぎ、手間と費用を軽減するためには、シール材の劣化が進まないうちに除去・回収を行い、代替製品に取替、管理することが重要である。
2-2 計画
●排出事業者の責務
(1)事前調査
排出事業者(設備管理者)は、事前に設計図書、現地確認等によりアスベスト含有シール材が使用されている部位を把握する。
(2)情報提供
排出事業者は、設備の改修、解体及び定期点検を発注する際は、アスベスト含有シール材の使用状況の情報を施工業者に情報提供する。
●処理計画
(1)処理計画
排出事業者は、アスベスト含有シール材を適正に処理するために、施工計画時に処理方法について具体的な処理計画を立てる。
(2)留意事項
処理計画の作成にあたっては次の点に留意する。
- アスベスト含有廃棄物の発生量
- アスベスト含有廃棄物からアスベストの曝露及び飛散を防止する
- 作業者は、石綿使用建築物等解体等業務特別教育修了者とし、必要により石綿作業主任者技能講習修了者から石綿作業主任者を選定する
- 撤去方法
- 現場内における分別、保管方法
- 収集運搬および処分方法
(3)関係者への周知
施工中に処理計画書に基づいた処理が実施されるように、管理体制を整えて現場の運営に当たるとともに、関係者に周知を行う。
●処理経路
(1)処理経路計画
処理計画書の作成に当たっては、処理経路を明確にして、保管、収集運搬、無害化処理及び最終処分場の各々について計画する。
1. 除去現場から直接最終処分場へ

2. 除去現場から無害化処理を経て再資源化または最終処分場へ

●処理委託
(1)処理委託
排出事業者は、アスベスト含有廃棄物の処理を他人に委託する場合は、法に従い収集運搬業者及び処分業者とそれぞれ書面により契約しなければならない。
(2)適正処理の確認
1. マニフェストの交付
排出事業者は、アスベスト含有廃棄物の処理を委託する際に、産業廃棄物管理票(以下「マニフェスト」という。)を交付し、「産業廃棄物の種類」の欄の余白に「アスベスト」と記載し、他の廃棄物と区分して排出するものとする。
2. 適正処理の確認
排出事業者は、処理を委託したアスベスト含有廃棄物が適正に処理されたことをマニフェストによって確認しなければならない。
3. 電子マニフェストによる管理
排出事業者は、産業廃棄物処理に係る事務処理及び処理状況の把握を効率的に、行うために、電子マニフェストを積極的に活用すること。
シール材の処理フロー
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