AMCロゴ アスベスト(石綿)の適正処理と
健康被害を防ぐために
本文へジャンプ アスベスト処理推進協議会



1-1 シール材について


シール材とは、機器等の接続部分からの流体漏洩防止を目的としたもので、 この接合部分の漏れ防止用詰め物をいう。シール材は、運動する部分からの漏洩を防ぐためのものを「パッキン」といい、固定部分に使用して漏れ防止を図るものを「ガスケット」という。設備の反応容器や、配管、機器類などに使用される。

このシール製品は、あらゆる過酷な条件をカバーする必要があるため、広範な材料が使用されている。特に石綿を材料としたシール材は強酸や強アルカリなどへの耐薬品性、高温や低温への耐熱性、高圧への耐圧性などを有し、さらには永久歪 が小さく復元性があることから、諸工業で広く使用されてきた。しかし、労働衛生の観点から有害性について、衛生管理には十分な注意が必要となっている。下記に シール材の大まかな分類を示す。



1-2 シール材の区分





1-3 シール材の種類


シール材には、クリソタイル(白石綿)とクロシドライト(青石綿)が多く使用されてきており、アモサイト(茶石綿)はほとんど使用されていない。アモサイト及びクロシドライトについては有害性が高いことから、労働安全衛生法により1995年6月から輸入・製造・販売・使用(過去に使用されている状態のものは除く)が禁止されている。従って現在使用されているアスベスト含有シール材の多くは、その寿命も踏まえると、クリソタイルを含有するものが多いと考えられる。


(1)ガスケット

ガスケットは使用材質により名称が異なり、一般にはシート状またはロール巻で供給されるジョイントシート、ビーターシート、ミルボード等があり、この板材からシールする部分の形状寸法に裁断したものをガスケットという。これは、通常軟質(ソフト)ガスケットと呼ばれる。ガスケットには金属、ゴム、プラスチック等、石綿以外の材質も多く使われている。ガスケットのうち、最も多く使用されているのはジョイントシートガスケットである。




●ジョイントシート

繊維材料・重点材・ゴムなどによる柔軟性に富んだシート状のガスケット材料で、必要な形状・寸法に加工され、各種配管のフランジ、バルブ、機器などのガスケットに利用されている。石綿ジョイントシートは重量比で65%以上の石綿とゴムバインダー10%以上及びゴム製品、充填材等を配合し、緻密で均一な厚紙状に加熱圧縮したものである。




●うず巻形ガスケット

高温高圧用のセミメタルガスケットでの一種で、シール性に優れており、気体や蒸気のシールよりも液体に適している。石油精製、石油化学、発電所、など広範囲な分野の配管や機器で利用されている。基本構造は断面がV形またはM形にくせ付けしたテープ状の金属薄板に石綿紙をはさみ、バームクーヘン様に巻き取った渦巻き状をなすものである。



  
       

●PTFE包みガスケット

フッ素樹脂(PTFE)包みガスケットは、内部に比較的弾性、復元性のよい芯材(石綿フェルト、石綿ジョイントシート、石綿板、ゴム板など)を用いたガスケットである。耐薬品性、非汚染性に優れ、ファインケミカル、石油化学工業、医薬、食品工業、半導体産業などの幅広い産業で利用されている。






●メタルジャケットガスケット

耐熱性の高い無機質のクッション材(石綿板、石綿ジョイントシートなど)を中芯として、それを金属薄板で被覆したガスケットである。金属と非金属の特徴を組み合わせたもので、石綿ジョイントシートなどのソフトガスケットよりも広範囲の温度、圧力に体制がある。熱交換機、圧力容器、塔槽類、機器、バルブなどに利用される。






●織布ガスケット

石綿布、石綿テープ等にフッ素樹脂ディスパージョンを適量含浸させたものをガスケット状に加工したものである。ガラスライニング等や開閉頻度の多いマンホール用ガスケットとして利用される。









主なガスケットの組成

ガスケット名 組成 重量比(%)
石綿ジョイントシート       
(石綿とゴムバインダーを混練した原料を
緻密な板状に圧縮積層したもの)
クリソタイル 60〜80
ゴムバインダー 約10
配合剤等 残量
ビーターシート 
(石綿を抄造機により薄紙場に漉き、これを
カレンダーロールで圧縮形成したもの)
クリソタイル 約50
バインダー等 約20他
ミルボード     
(石綿を抄造機により厚く漉き、これを所定の
寸法に張り合わせたもの)
クリソタイル 50〜80
バインダー等 20〜50

(2)パッキン

通常、パッキンにはゴム、プラスチック等多くの材質が使われ、その用途も多岐にわたっている。パッキンの種類には、Oリング、Vパッキン、編組パッキン等があり、ここでは石綿の使用が多い編組パッキンについて取り上げる。編組パッキンは、石綿糸にフッ素樹脂、グラファイト、油脂等を含浸させたものを編み組みしたもので、編組の方法で分類され用途も多少限定されている。この編組パッキンはコイル状の長尺ひも(以下、コイルパッキンという。)およびコイルパッキンを切断してリング成形したもの(以下、リングパッキンという。)がある。通常、バルブやポンプのスタッフィンボックス(パッキン箱)をグランドといい、そのグランド部に詰めて、内部流体の漏洩を防止する多目的で使用されるため、グランドパッキンと呼ばれる。このグランドパッキンを単にパッキンと呼ばれることも多い。機器等の駆動部に使用されており、ガスケットより使用量は少ない。






主なグランドパッキンの組成

グランドパッキン名

          組  成 注1) 重量比(%)
石綿編組グランドパッキン クリソタイル 60〜90
錦糸等(石綿混紡材) 5〜20
固形含侵材(フッ素樹脂、グラファイト等) 0〜30
潤滑用油脂類(マシン油、パラフィン等) 0〜10
プラスチックパッキン注2) クリソタイル 60〜90
バインダー等 10〜50

注1)用途により、組成の材料を適宜組み合わせ、構成している。

注2)プラスチックパッキンとは,石綿に少量の気密材を混合し、角形断面形状に形成したもので、

   崩壊防止を目的に外周を錦糸等で編組してある.。

※ここではクリソタイルを使用したものを示した。




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